自己教育力を育成する


 ・旺盛な学習意欲の育成
    興味を引かれたものに目を輝かせ、我を忘れて真剣に取り組み、暑さも知らぬ程存分に汗するような生活

 ・学習の仕方の習得
    「知能の教育から知性の教育へ」
    「現状維持型の学習から革新型の学習へ」 

 ・生き方を探求し続ける、或いは美しい心を育てる
    
                                       河野重男(お茶の水女子大学長)

                                        講演「社会の変化に対応する教育と研究開発」
                                              H.2.9 東部地区教育研究開発協議会


「豊かな学力をつくる学校の仕組み」


  豊かな学力とは、学力観を新しい視点から捉え直していこうとするものであるが、学力を幅広く捉え、多様な選択に
  対応する奥の深さを持ち、総合して人間形成に結びつけて、どういう人間を育てるかという目的指向性を持つもので
  ある。
  本来学力即価値ではない。
  常に、何のための学力かということが問われ、それ自体に価値意識はない。したがって、「豊かな」は、学力に価値
  をつけ加えるものであり、自分で自分の道が選択できる素地を培うための可能性を保障しようというものである。

                                                  下村 哲夫(筑波大学)
                                                   教育展望 '94, 11月号


音楽教育の意義

        園部 三郎
        岩波講座 現代教育学8「芸術と教育」 1964. P.236

   音楽教育は、知識を与えるとか技術を習得させるとかいう教育よりも、それを自ら求めると同時に自分の生命の発展
   のために、技術や知識を活用しようとする欲求を育てることにその出発点があるのではないだろうか。
   そして、こういうエネルギーを燃焼させることこそが、自己創造力を持たせるということではないだろうか。


《創造性の因子》

  ○問題に対する敏感さ
    問題を解決するとき、その状況の問題点や改良点を敏感によみとる。
  ○流暢性
    言葉の流暢であることや、つぎつぎと多量にアイディアを生み出す。
  ○柔軟性
    問題解決で、ある解決方法にこだわらず、種々の方法を求め、いろいろと
    思考をめぐらす。
  ○独創性
    反応がありきたりでなく、非凡で独創的な反応を生む。
  ○綿密さ
    細かい点にも注意を払って、問題解決をなし遂げる。
  ○再定義
    概念を分解し、新たに構成しなおしたり、定義しなおしたりする。

                            「創造性を培う子どもの学力観」 
                             杉原 一昭 (筑波大学教授)
                                   教育展望 7・8月合併号(H.3  第37巻第6号) P.22


『創造性を培う子どもの学力観』


   では、一問多答式の学力とはどのようなものかが問題となる。
   いまのところ、明確なことはいえないが、住田による「創造性の因子」が参考となろう。
   住田は創造性検査の因子分析的研究から、次の6因子を抽出している。
      〜略〜
   教育においてこれらの能力を育むためには、少なくとも次の二つの前提条件を満たす必要があると思われる。
   その一つは、子どもの思考様式はさまざまであり、いろいろな反応が出され、そのどれがよくてどれが悪いと決められ
   ないときもあることを認める、つまり多様性を認識し、それを容認することである。
   もう一つは、答が決まらないこともあることを認める、つまり、あいまいさへの寛容さをもつことである。
   ファジー時代、ボーダーレス時代といわれるように、教育でもどれくらいあいまいさを導入できるかが重要である。

                             「創造性を培う子どもの学力観」 
                              杉原 一昭 (筑波大学教授)
                                  教育展望 7・8月合併号(H.3  第37巻第6号) P.22


「コンピュータを教える」


    三宅なほみ
    岩波講座 教育の方法10「教育と機械」 1987. P.149

    計算能力にしても、読み書きの能力にしても教える教師は、それを基礎としてどんな未来が開けるかを知っている。
   だが、その未来を生徒にも見えるようにするためにも、未来が 具体的な形で現れて来やすい状況をはじめから作って
   やらなけ ればならない。


「コンピュータを教える」


       三宅なほみ
     岩波講座 教育の方法10「教育と機械」 1987. P.152

     読み書き能力を教える目的は、単に与えた教科書の字面が読め、手本通りに文字が書けることではない。
     読んだり書いたりできることによって、「知る自由」と「表現する自由」を確保することである。


 「コンピュータを教える」


     三宅なほみ
     岩波講座 教育の方法10 「コンピュータと教育」 1987. P.121

  コンピュータリテラシー教育

   「学習者に、実際課題と取り組む中で、コンピュータを道具として使う体験をさせることを中心にすえて構成
    すべきもの」

   最近の認知心理学の成果から考えて、このような学びが成り立つためには、ここで選ばれる課題が学習者自身が
   やって価値があると思うような課題である必要がある。