「日本電子キーボード学会」設立趣意書
 
 今日の音楽のすばらしい発展は、多くの国々の技術者によって作られ伝えられてきた楽器と、それらの
音資源(sound resources)に触発されて様々な創造や表現に努めてきた作曲家や演奏家、および著しい
広がりを見せているメディアの貢献が大きいといわれています。
 これらの中にあって日本の誇るハイテクノロジーの結晶ともいうべき様々な電子楽器の生産額は、アコ
ースティック楽器のそれを凌駕するようになり、音楽家の諸活動のみならず、幼児から高齢者に至る学習
者「みんなが」「いつでも」「どこでも」行える「様々な音楽活動」、すなわち生涯学習の一環としての音楽学
習の展開にも貢献して、これらの人々の音楽的表現意欲を増大し、その活動の輪を拡大してきております。


 既に周知のとおり、最新の電子キーボードは、コンピューター機能を内蔵してバーチャルサウンドを持ち、
未来を指向したサイバーキーボードとも称され、優れた音の多彩なサンプリングなどを生かした「創作機能」
「アンサンブル機能」「教育的機能」を持っております。
 それらの機能を十分に活用することにより、新しい響きを追求し豊かな音楽表現を求め、多様な音楽活動
のさらなる活性化に貢献しています。
特に、国内や海外における国際的なイベントに於いて、「アンサンブル機能」を活用してアコースティックな楽
器との共生をはかり、協奏曲やオペラ、さらには民族音楽の分野さえも、電子オルガンによるオーケストラ的
協演という形態を生みだし、文化的に多様なプログラムによる演奏が提供されております。

 拡大された音楽教育の現場に目を移せば、この電子キーボードの多音色・多機能という特色に着目し、
初等教育から高等教育、さらには生涯学習に至るまで、音楽表現・音楽創りのための発展的な学習へ
の活用が行われるようになってきております。特に専門教育に於いては、12の音楽大学、21の音楽短期
大学、26の音楽高等学校に、電子キーボードを代表する電子オルガン関連の学科が開設され、この楽器
の効果的な指導法の開発或いはスコアリーディング方式による新しい響きや豊かな音楽的表現を求めて
、専門教育およぴアマチュア音楽活動などの活性化に大きく寄与してきています。また、演奏分野に於い
ては、電子オルガンのオーケストラ的協演によるピアノ協奏曲やオペラ、ミュージカルなどの上演が、コン
サートやまちづくりの一環として全国的に行われ、一つの社会現象にもなってきております。

 しかしながら前記のような活動は、どちらかというと個別に行われてきており、今後、これらの意欲的な
研究・実践や情報などの交流を、より活発に展開していく必要があります。さらには、新しい響き、豊かな
音楽表現、多様な音楽創りのための電子オルガンやM.L(ミュージック・ラボラトリー)における電子ピアノ
や一段電子鍵盤楽器の効果的活用方法を、作曲家、演奏家、楽器の製作者なども加わって、広い視野
から協調的に研究推進することが必要となってきております。
私たちは、生涯学習社会を迎えて学習ニーズの多様化への対応を迫られている小・中・高校の教育及び
専門教育やまちづくりにおける望ましい音楽学習活動の活性化に向けて、多くの関係者によるグローバル
な情報交流も含めた総合的な研究の場として、「日本電子キーボード学会」の設立を提唱するものであり
ます。